
先日、長年にわたりお顔の動静脈奇形(血管腫)と戦っていらっしゃる園田さんにお会いする機会を頂いた。顔に大きな病巣が見つかり、切除するという辛いご経験をされながらもご自身と向き合い、その経験を皆様にお伝えし、同じ悩みを持つ方にアドバイスをしている、聡明で素敵なエネルギーをお持ちの方。ご自身の病気について振り返るという、大変辛い作業にも関わらず、胸の内を素直に話してくださったのがとても印象的だった。
病気は全ての人に起こりうることだが、今までの当たり前を失った時に、どのようにして受け入れ自分らしく生きていくのか、園田さんのお話が何かのヒントになればと思っている。
今までの自分の顔を失う怖さ・悲しみと向き合い、美しくなっていく喜びとそこから生まれる、園田さんの前向きなエネルギーに心が動かされた。
化粧ができること、化粧のもつ可能性について私自身考えさせられるインタビューだった。
恩田 本日は、宜しくお願い致します。まず、ご自身のご病気について教えて頂けますでしょうか?
園田さん 自分の病気がわかって11年目になります。11年前の9月に動静脈奇形(血管腫)の病気ということを知らされました。
恩田 その時、初めてご病気を知ったのですか?
園田さん はい、鼻から大出血を起こして病院に運ばれ、出血性ショックで命を失うほどの状態でした。自分の病気が深刻なものだと聞かされたのも、その時でした。
恩田 手術は大掛かりなものだったのですか?
園田さん 一回目の手術は大手術で、病巣を取るだけだとまたいつ出血を起こすかわからないということで、唇から顔面にかけての摘出と皮弁移植をしています。
恩田 それは、大変な手術でしたね。
園田さん 15時間という長時間の手術で、先生にも「そこまでの手術を女性でよく躊躇せずにできましたね」と言われました。子供の存在がなければ決断できなかったと思います。
恩田 そこから、今も治療を続けていらっしゃるんですよね。
園田さん はい。そこからこの病気との闘いが始まりました。現在、難病指定の一つになっているのですが、できるだけ進行のレベルが上がらないような治療をしています。
恩田 術後に一番気なったのは、顔の傷や赤みですか?
園田さん 赤みとかよりも、その時は顔の変化ですよね。いつもの自分ではない状態の顔を、はじめは鏡を見るのが怖かったですね。
恩田 ご家族の皆様も心配なさったでしょうね。
園田さん 付き添ってくれていた父が一番初めに私の顔をみて「大丈夫だよ、ちゃんと鼻もあるよ」といってくれてやっと鏡を見ることができて。自分では、顔を全部失うと思っていたので、その言葉で救われた思いがありました。
恩田 ご家族のお言葉で救われたんですね。
園田さん それからは、形成という顔を修正していく手術をしていくようになりました。でも、翌年にまた同じような出血があり、切除や皮弁移植をするというのを5年位続けてきて、顔を綺麗にしていく手術と同時に切除することに疲れ、体力や気力をなくしてしまって。切除はやめて血管を詰める治療、そして手術以外で顔を綺麗にする方法を模索していたんです。
資生堂ライフクオリティービューティーセンターの体験が未来を変えた!
恩田 そんな中、資生堂ライフクオリティービューティーセンターと出会われたのですか?
園田さん そうですね。ちょうどその頃、色々なメーカーを見ている中で、資生堂ライフクオリティービューティーセンターが講座をされているのを知って、そこに参加させて頂いた時にカバーメイクを体験したんです。
恩田 体験してみていかがでしたか?
園田さん 180度以上の変わりようにすごく驚いて。自分でする化粧には、ある程度限界がありますよね。それを大きく超える変化を短時間で経験させて頂きました。それで、また東京・銀座にあるセンターに伺ったら違う自分を見られるかもしれないと思いすぐにメールをし、それから通わせて頂いています。
恩田 資生堂ライフクオリティービューティーセンターに通うようになって心境の変化はありましたか?
園田さん もう自分の顔を半ば諦めていた時、娘に「お母さん、女性捨てたの?」と言われて。これではいけないと思っていたところだったんですが、こちらのセンターで、悩みをカバーしながらも、自分の色に合った自然なメイクを教えて頂いて、自分でもできそうな簡単なところが気に入って商品を使わせて頂いています。
恩田 実際に使っていて、特に気に入っているところはどこですか?
園田さん 赤みと傷がカバーできるところがとにかくすごいですね。人から見られる視線を感じなくなってきました。赤みや傷に加えて唇がない、ということで今までは二度見されるのが普通でしたが、化粧することで、普通に人とすれ違うことができるというのが大きく変わった点ですね。
恩田 行動範囲も変わってきますよね。
園田さん 今は、普通にマスク無しで色々な場所に行けるので、ありがたいです。娘には「魔法のアイテムだね!」と言われています。
恩田 このシリーズの中で特にこれは手放せない、お気に入りのアイテムはありますか?
園田さん 化粧するのに、他の人よりも時間がかかってしまうのですが、楽なBMの柔らかいタイプが使いやすくて大好きです。パーフェクトカバーをどこにでも必ずもって行きます。一般の化粧品を使っていても、それを少し塗るだけで赤みがほんとに綺麗に消えて傷が目立たなくなり、見た方から「赤みどこにあるの?」と言われるのがうれしいです。傷あとがカバーできるのですから普通のシミなんてすぐに(笑)
恩田 そういったご自身の経験をブログでもご紹介されているんですよね。
園田さん はい。少しでも同じ悩みを持つ方に前向きになって頂けたらと思っています。使用前後写真をブログで紹介したら、大変反響がありましたね。全然知らない方からもご連絡を頂きました。少し人のお役に立てたかな、と思っています。
恩田 ご家族も園田さんが化粧をすることで変わりましたか?
園田さん 母がすごく喜んでいます。娘の私に、こういう身体で産んでごめんねという思いがあったのかもしれませんが、私が化粧で綺麗になることで、形成手術を薦めるのではなく「化粧しなさいよ」って言ってくれるのが私もうれしいです。
恩田 顔を形成するために手術をするのではなく、化粧で綺麗になれるというのは精神的にも肉体的にもだいぶ違いますよね。
園田さん 母だけでなく、娘に「お母さん、すごく綺麗になったよ」と言われるともっと綺麗になろうという気持ちになります。いつまでも若くて綺麗なお母さんでいてね、と今でも言われるので今後も頑張りたいと思います。
恩田 化粧でここまで綺麗になるとご自身でも思っていなかった、それを皆さんに伝えたいという気持ちをお持ちなんですね。
園田さん 本当に化粧でここまで綺麗になるとは思っていなかったので、同じ悩みをもつ皆さんにお伝える意味があると思っています。自分が今生きていること自体が奇跡みたいなものですから。こういう活動をするために、生かされたんだなと思っています。化粧を含めて前向きに行動することで変われるんだ、と伝えることが一つの生きがいになっていますし、これからも続けていきたいと思っています。
恩田 ご自身のご病気のお話から、化粧の持つ可能性まで体験談を交えてお話しいただき、大変貴重な時間を過ごすことができました。お話をお伺いして、私もとても前向きになれました。ありがとうございました。
【プロフィール】 園田 由美(そのだ ゆみ) 1966年5月 鹿児島県で生まれる 2006年9月 突然の大量出血により動静脈奇形がみつかる 2008年9月 混合型血管奇形の難病指定を求める会へ入会鹿児島県支部長として活動 2011年11月 19人の患者と家族の手記『泣いてばかりいられない』~四度の手術から学んだもの~執筆 2014年4月 新しい夢に向けて混合型血管奇形の難病指定を求める会を退会し、血管奇形ネットワークを立ち上げ代表世話人として活動中。 血管奇形ネットワーク http://kekkankikeinw.web.fc2.com/ 園田由美 個人ブログ http://www1.bbiq.jp/yu_me/blog.html |
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